2016.06.23 ( Thu )

就活のためにカンボジアに学校? サークル活動に迷走する大学生

大学のサークル活動でカンボジアに学校を作る。そんなサークルが増えています。その目的はズバリ「就活」。でもそうした努力は企業に評価されるのでしょうか?


サークル活動

大学生の最大の関心事といえば「就職」。

早くから就職に向けて準備を怠らないようにしている…わけもなく、現実はサークル活動やバイトにのめりこみすぎて、単位取得に追われたり、夜ごとくり広げられる飲み会で記憶をなくしたり、楽しいことばかりで就職のことなど考えるいとまがありません。

 

しかし、そんな生活も普通なら4年、長くても8年程度しか続けることはできません。

ほとんどの人には例外なく大学を巣立って社会人として働かなくてはならない、その時がやって来るのです。

そして、いやでも最大の難関、「就活」に取り組まねばならなくなるわけです。

 

就活において非常に重要なESにどのような自己PRが書けるのか?

どんなに話を盛ってみても所詮は付け焼刃、人事担当のプロには通用しません。

ならば、楽しみながらESに書ける実績もつけたい。

そんな「実績づくりも兼ねたサークル活動」は存在するのか、を検証してみたいと思います。

 

サークルは就職に向けてのシミュレーション

 

大学に入学するまでの努力の度合いや大学のブランド力によって、大学生活もかなり違ったものとなるのが常です。

たとえば、早慶やMARCHのようにブランド力のある大学を目指して、早くから勉強に打ち込んできた学生の中には、入学直後から有名企業に入ることを想定して学生生活を送る者も少なくありません。

 

逆に、有名大学に入ることだけを目標にしてきた学生の中には、入学と同時にリバウンドが起こって、勉強はそっちのけ、飲み会とバイトとサークルに明け暮れる怠惰な毎日に浸かりきってしまうものもあります。

 

また、ブランド力の低い大学への進学を余儀なくされた学生の中には、せめてサークルとゼミだけでも就活に向けて実績づくりをしておこう、と考える者もいるでしょう。

いずれにしてもサークル活動をESに書くのであれば、あらかじめ「自信を持ってESに書けるサークル」を選択する必要があります。

 

それなりの成績を残している体育会系の部活動や公認サークルは企業からも好印象のようですが、やはりそれなりの経験と実績が必要です。

なので、エントリー対策としてキャリア系のサークルを選ぶ学生も多く、これらの実務系サークルはそれなりの人気があります。

 

学内や近隣で配布するフリーペーパーをつくるサークルや、実際に書籍を出版したり、広告作成などを行うDTP系のサークルもあります。

また、大規模イベントを運営するサークルの中には、大手イベント会社がバックアップしているケースもあります。

 

自分の進路を早くから定めている学生にとっては、こうした疑似的な職業体験ができるサークルを選ぶものも一つの選択肢といえるでしょう。

 

キャリアサークルに人気が集まる

 

DTPやイベント、広告など、就職で人気の高い業界に直結するようなサークルは、「自分の好きなこと」と「就活への実績」の両面でまさに一石二鳥といえるでしょう。

逆に、このような卒業後の仕事に結びつきやすく、エントリーにも有利と思えるサークルには、「就職のために」入ってくる学生も多く、企業側の見る目もおのずと厳しくなりがちです。

 

通常、採用に際して企業側が重視するのは、まず大学のブランド力です。

毎年数え切れないほど多くの学生がエントリーしてくる中から、いかにして優秀な学生を選別するのか?

その第一段階が大学のブランド力でしょう。

ブランド力は偏差値をベースにしているのですが、偏差値の高さとは、数値上、高いと思われる希少価値にほかなりません。

 

しかし、たとえば私立大学の早稲田大学と慶応義塾大学だけを対象と考えてみても年に2万人近くの学生が卒業するのですから、そのような2万人の学生の中で、またさらに優秀な学生を選別する手段が必要になります。

 

そこで、企業としては対象となる学生を多角的に分析することになるわけですが、学生側としては自分がいかに貴重な経験を積み、目を見張るような実績を残してきたか、を重要なアピールポイントと考え、そんな学生生活を演出しようとするわけです。

 

しかし、果たして企業がどのような学生を求めているのか、採用選考の初期にはどのような基準が適用されるのか、学生の側には読み切れない部分も多いもの。

そこで、手っ取り早くサークル活動を通じて自分がアピールできる実績をつくろう、と考えます。

 

そんな「就活を主眼に置く学生」の多くは、こぞって実績づくりができそうなサークルを目指すことになります。

そんな「就活優先」の学生に人気の高いのがキャリアサークルで、なぜかといえばサークルのテーマがずばり「就活」だからです。

 

こうしたキャリアサークルでは入学直後から、就活を見据えた学生生活の在り方やモデルケースをみんなで考えたり、OBやOGを招いてのディスカッションなどを行っています。

 

キャリアサークルでは就職のみを目的としているのではなく、1~2年のときは就活対策、3年では就職後の将来に向けての準備、4年ではすでに就活をしつつも「就職した会社でのキャリア」まで想定しています。

まさに大学生活すべてが就職後のキャリアのためにある、というサークル活動です。
 
立教大学キャリアテラス
 
立教大学 CareerTerrace
http://goo.gl/qG5ReO

 

Best Career紹介動画(YouTube)

 

しかし、多くの学生にとって、就職後の自分など考えてもいないし、ましてや社会に出てからのキャリアなどは想像もつきません。

ですから、こうしたキャリア一直線の学生生活を選択しないのが多数派です。

だからこそ、キャリアサークルの存在意義があるのかもしれませんが。

 

大規模サークルの罠

 

例えば出版系の就職に興味がある学生は、出版サークルに入る場合が多いし、広告系、メディア系への就職希望者は、各大学にある広告研究会や、イベント系の学生団体で活動する場合が多いのはこのためです。

とくに大手大学に母体を置く広告研究会などの場合は、その大学だけでも数百人単位の会員が入る場合が多く、学生のメディア系への就職希望の多さを物語っている。

 

しかし、上記のようなサークルに入ったとしても、理想通りの実績というのはなかなか作ることができないというのが、サークルの現状です。

というのも、所属人数が多いということは反対に仕事にありつける人数が少ないことを意味します。

 

これは野球の強豪校の場合のレギュラー争いを想像すれば想像できるでしょう。

そもそも新入生、2年生はほとんど雑用をこなすといったことしか、経験させてもらえないのです。

 

筆者の大学の広告研究会は、毎年新入生が数百人入会しますが、最初の二年間は一切の企画など行わせてもらえず、ずっと高学年の雑用をこなすといった感じだと、広告研究会に所属する友人はいつも愚痴を漏らしています。

 

彼らは、二年間実務に耐え抜いた後の小さな実績のためだけに大学生活の楽しいはずの二年間を雑務に捧げるケースが多いのが、「キャリア系大規模サークル」の悲惨な現状なのです。

1学年で100人以上が所属するサークルを選ぶ場合には注意をした方が良いといわれる理由はこのあたりにあります。

 

このような例は決して珍しいものではなくて、むしろイベント系、広告系、雑誌系などのサークルはガチガチに上下関係と、仕事振り分けのヒエラルキーに縛られているものが多いといわれています。

 

一見するとこのようなサークルは不人気であり、学生からは敬遠されがちかと思うかもしれませんが、実際はその系統のサークルは新入生が数百人単位で加入する場合が多く、いかに今の学生が就活を意識して大学生活を送っているのかを物語っています。

 

近年のボランティアサークルブームの正体

カンボジアに学校を作る

このように自分の進みたい進路を見定めた上で、実績を作ろうと試みている学生は、ある意味素晴らしいです。

しっかりと将来に目を据えて四年間努力するというのはなかなかできることではありません。

 

しかし、そのように進路がはっきり定まっている学生はそれほど多くありません。

そのような学生は、「なにか就活の対策をしなければならないことは分かっているが、でも別段やりたいことはない。何をすれば分からない。」と言った、迷走状態に陥ります。

 

そしてこの迷走状態こそ「実績を作るための迷走」の正体であり、タイトルにあげた「発展途上国に学校をつくろう」といったような漠然とした目標をもとに集まるボランティアサークルの乱立を招いているといっても過言ではありません。

 

ここ数年、大学生の中では「ボランティアサークルブーム」が起こっていて、たくさんのサークルが毎年生まれているのですが、その目標として一番多いのが「カンボジアに学校を作ろう」というものです。

言葉は悪いですが「飽和状態のボランティア」と企業の面接担当者が講演の際に例で挙げるまでの増殖ぶりなのです。

 

もちろんボランティアサークルの活動は社会的に大変意味があることは否定しません。

実際には大金を集め、発展途上国の教育を受けられない子供たちのために現地まで赴いて学校を創り上げたというような、善意に満ち溢れて成功を収めたサークルや団体もあります。

 

しかし、中には、しっかり内情を見ると、実際にはボランティアとは名ばかりで「学校を建てる」を名目にクラブイベントでお金を稼ぎ、その一部だけを寄付して「やった感だけを出している」場合や、作ったのは良くても現地で放置しっぱなしで、その後の現地の進展について一切関心はないといったような、語弊を恐れず言えば、「慈善活動を盾にした就活対策と丸わかりのサークル」ですらたくさんあるのです。

 

本当にボランティアのことを、現地のことを考えるのであれば、このような同じ意思を持つサークル同士が協力し合って現地での展開計画・建設計画・利用計画・整備計画までを組織的に解決していけばよいはずなのですが、そのようなサークルはなかなか生まれていません。

 

サークル活動は実績になるのか

 

こうしてみてみると、自身のキャリアのためだけに特化したキャリアサークルはともかく、すべてを包括して考えた時、「サークル活動は実績になりうるのか」という疑問がわきます。

 

実際に、企業が採用基準で重視するポイントとして、サークル活動の順位はかなり低いものです。

これに対して学生側は「アルバイト」「部活・サークル」「趣味・特技」をアピールする傾向にあります。
 
就職採用
 
リクルートキャリア 2015就職・採用活動編
https://goo.gl/QdIvwR

 

しかし、企業側が重視しているのは「人柄」「就職しようとする企業への熱意」「将来性」であり、大学生自身も人柄と熱意の重要性は理解しているようです。

ただ、企業側との温度差は大きく、アピールポイントがかみ合っていません。

 

学生はESや面接で、「いかに実績を積み上げてきたか」をアピールしたがりますが、言ってみればこれば過去の自分であり、将来の自分ではありません。

 

これに対して企業側は、

・会社と周囲に調和して職場環境に適応できるかどうか、まず「人柄」

・そして自分が働き、成長していかなければならない環境である「自

社と自社の置かれている業界」に対する熱意

を重視しています。

 

企業側は、過去ではなく未来に対する自分なりのビジョンやマイルストーンをおぼろげながらもイメージしているかどうか、そしてそこに向けて努力を継続できるかどうか「将来の可能性」を、見極めたいと考えているのです。

 

過去にどのようなアルバイトをしたか、サークル活動でどんなことをしたか、どんな趣味や特技をもっているか、などはどうでもいいことであり、アルバイトを通じて社会とどのようなかかわりを持ち、それを今後の社会生活にどう生かすか。あるいは、サークルという組織の中ではどのようなポジションでどのような役割を果たしたか。それによってサークルにどのような変革をもたらすことができたのか。

 

過去の出来事を将来につながるストーリーとして明確に表現できなければ、アピールにはならないのです。

 

就活のためにするサークル活動なんかより、もっと自分のやりたいことをやる、やりたいことを見つける方に情熱を傾けたほうが、自分の将来にとってよほど有意義です。

その中で自分の進みたい業界が見つけられたら、その業界のことをとことん突き詰めてみる方が、最終的に実りある就活に結び付けられる近道になるはずです。

Recommend-関連するオススメの記事-

後 援

JIHDO 公益財団法人 国際人財開発機構

協 力

FRESH! by AbenaTV

pagetop

Copyright© 大学生活を有意義にする実行委員会. All Rights Reserved.