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就活

2016.07.06 ( Wed )

体育会系は就活で絶対有利だったのに不利になってきている条件


ラグビー

就職活動の面接において、大学名と同じくらいの価値を有するのが「体育会アピール」であることはよく指摘されます。

実際、体育会経験者の就活成功率は、たとえ同じ競技で同じ結果を残しているサークルと比べても、遥かに高いといわれます。

 

しかし、あらゆる局面で企業や経済圏のグローバル化が進む昨今、就活に絶対的有利といわれてきた体育会系にも、これまでにない変化が起こりつつあります。

そんな体育会系就活生について、まずは就活指導を行う株式会社ネクストラボの代表取締役である佐竹祥史氏に聞いてみました。

 

運動神経を求めているわけではない

 

一般的に、「サークルに比べて体育会の方が技術的レベルが上」と考えられますが、実はそれはどうでも良いこと。

実際、選手として採用するわけではないので当然求めるのは全く別のスキルです。

 

おもに、体育会経験者は、「理不尽と思える厳しい上下関係」のもとで「理不尽な慣習を耐え抜いた精神力」が評価されているのです。

 

社会はいわば理不尽の連続です。

「非が無くても平謝り」
「上司が尊敬できない」
「希望と異なる配属」

「上司の不当な評価や扱い」

「朝令暮改が当たり前」

など例をあげると際限がありませんが、これに対してその都度腹を立てて反発されてしまえば、会社組織を円滑に回すことができません。

 

そこで「体育会の絶対的な学年序列」を耐えてきた人間は、上司からすると会社を運営する上で貴重です。

体育会の場合の「1年奴隷、2年平民、3年天皇、4年神様」という序列は、「平社員奴隷、係長平民、課長天皇、社長神様」とそのまま会社組織にも移行可能なので、会社運営を行う立場からすると、それまで築き上げてきた組織体制が突然壊されるような事態は起きずに安心なのです。

 

そして、最も重要なことは体育会の場合、全員の目標が「勝利すること」で一致している点です。

「勝つこと」という共通する目標に向かって全員がどうすればよいかを考え、実践する。社会に必要な競争原理を意識せずに体得できる、これこそが体育会の最も優れた点であるといえるでしょう。

 

雑用を笑顔でこなしてきた経験が生きる

 

会社に入ってみると、自分の思い描いた内容の仕事やプロジェクトに携われるのは先の話で、最初は雑用ばかりというのもよく聞く話。

実際この雑用をこなすことを通じて将来のプロジェクトの基礎力を養えるような場合もあるのですが、この段階で自分の置かれた現実に失望して心が折れてしまう人も居るのです。

 

それが、体育会系経験者の場合は「楽な仕事をありがとう」とばかりに、笑顔で自分から進んでやろうとする。

もともと体育会運動部の場合、寮生活を高校時代、大学時代を通じて経験している場合が多く、寮生活では「後輩は先輩の身の回りの世話を全部行う」のが当たり前の日課となっている。

 

ユニフォームの洗濯から用具管理、部屋の掃除や食事の世話まで、すべて1年生のこなさなければならない仕事として、当たり前にこなす。「洗濯は野球の技術につながらない」とか「部屋はみんなで使っているのだからみんなで掃除しなければ不公平」などと決して不満を言わないしボイコットも起こさない。

 

この「団体生活での役割分担」を理解しているから、雑用を「新入社員の通過儀礼」として疑問を抱かずに受け入れてくれる。

会社の秩序を守る上でこれほどありがたいことはないでしょう。

 

頭を動かす前にまず身体を動かす

新入社員

 

「返事は“はい”しか許されない」というのも、体育会経験者からは必ず聞く話。

たとえどんな無茶でも、あり得ない無理難題であってもアタマで考えることは許されない。

「先輩の声=神様の試練」なので、決して口応えなどできません。

 

たとえば自分の会社の今月の売上が伸びずに営業社員全員に追加ノルマを課さなければならない場合。

「あと3日で100件ずつ契約を取って来い」と指示した場合、上司が待っている答えは「そんなの無理に決まっています」という「客観的な分析」などではなく、「なんとかします」という「困難に立ち向かう意志」なのです。

 

「昨年全国優勝したチームと試合。負けたら全員坊主」…体育会では先輩からそんな無理難題を出される機会もしばしばあります。

ここで「そんなのおかしいです。考え直してください」と言ったとしても、その発言でチームの勝つ確率は上がりません。

しかし、そんなことを考える前に、その考えることに費やす1分1秒を「勝つためにどうすれば良いか」に充てることができれば、たとえ1%でも勝つ確率を上げられるのかもしれないのです。

 

スポーツの場合には、誰しもが「絶対に勝てない壁」に何度もぶつかってきている筈です。

同期のチームメイトにプロ入りが決まっている選手が居た場合、レギュラー争いで歩が悪いのが分かっていてもその環境は変えられません。

トーナメントで優勝候補とぶつかるのが分かっていてもその相手を避けられません。スポーツは常に「与えられた環境が全て」なのです。

 

謝罪と連帯責任を受け入れられる

 

「スポーツは社会の縮図」と言う人も多いように、スポーツと仕事の間に共通点はたくさんあります。

その最たるものは、どちらも「相手があってはじめて成立する」ことでしょう。

 

スポーツの場合に試合相手が居るように、仕事で営業を行う場合にはさまざまな取引先や顧客が存在します。

そうなると、すべてが自分のリードしやすい相手ばかりでなく苦手な相手も出てくるでしょうし、反則すれすれのラフプレイを仕掛けてくるようなタチの悪い相手と仕事をしなければならない場合もあるでしょう。

 

ここでも「与えられた環境を受け入れて対応できるか」は重要なスキルとなるのです。

たとえば自分の会社の何らかのミスのせいで、取引先の機嫌を損ねたり怒らせてしまった場合、直接的に自分が原因であろうがなかろうが、その場ですぐさま謝罪できるかどうか。

 

そこには間違いなく、「相手が怒っている」という事実だけが既に存在しているのであって、いま目の前の相手にとって自分のプライドなどの問題は無関係なのです。

そこで自分の変なプライドにとらわれず「会社の責任も自分の責任」と潔く認め、相手に謝罪できるあたりも体育会経験者が評価されるシーンの1つです。

 

これは、体育会経験者なら誰しも経験したことのある「先輩が怒っていたらとにかく土下座」という姿勢が染み付いていると、どんな場面でも相手の感情を見て冷静に対処することができることを意味します。

 

良くも悪くも「相手の顔色を見て、考える前に謝罪できる」というのは、体育会経験者だけが鍛えられた「生きるためのスキル」なのかもしれません。

きちんとした謝罪ができればかえって印象が良くなり、関係を悪化させることなく済ませられるケースも多いでしょう。

 

絶対遅刻をしない厳格な時間感覚

 

また体育会経験者が重用される大きな理由の1つに「徹底した時間管理ができる」ことがあります。

 

ここまで見てきたように、体育会経験者は必ず「下積み=後輩時代」を経験しています。

後輩時代には当然ながら「自分が待つことがあっても先輩を待たせてはいけない」のが当たり前の世界で、「遅刻したら坊主」というような厳しい罰則などがある場合も多く、自分の肌で時間を守る感覚が身についているのです。

 

これは、取引先とのアポイントにおける最低限のマナーを守れることを意味します。

重要な取引先との面談に遅刻は決して許されません。

社会人にとって遅刻は個人の問題でなく、会社全体の信用にかかわる問題になってしまうので、最低限の時間を守れる体育会経験者は営業分野で即戦力に指名されやすいのです。

 

体育会経験者が居ることによる効用

 

会社組織にとって、経営者目線と労働者目線では見える景色が大きく異なります。

どちらも「会社の状態を良くしたい」と同じ目標に向かって進もうと考えているのですが、その際に守りたいもの、犠牲にしなければならないものなどの順位付けは異なってきます。

 

そんな中で、新入社員時代に「自分が一番後輩」であることを理解し、体育会時代に本能的に身につけた条件反射で、ある意味で自分を押し殺しながら率先して雑務をこなしてくれる体育会経験者の存在は、上司にとってかわいいものでしょう。

 

さらに、そのような「与えられた環境を受け入れた」上で、その中で「理不尽な現状を悲観せずなんとか結果を模索する姿」が模範となって周囲のモチベーションを高める効果も期待できるでしょう。

 

こうして見てきたとおり、体育会の厳しさが生む経験値こそが、社会人即戦力の条件として評価される正体なのです。しかし、昨今IT系や外資系企業などではこのような体育会出身者の評価が下がりつつあります。

それはいったいなぜでしょうか。

こちらの動画では、会社の人事担当が覆面で「体育会系は就活に有利か?」を座談会形式で発言しています。ぜひご覧ください。


 

体育会だからこそ起こる弊害

 

体育会の目標は「勝利すること」で一致していますが、「勝利に向かって何をするか」ということは指導者や一部のリーダーたちが決めることであり、ほかの選手、特に下級生たちは決められた練習法やトレーニングに従うしかありません。

 

これまでは、決められた厳しいトレーニングに耐えてきた精神力が評価されたので良かったかもしれませんが、現在の企業が求めるのは決められたことを実践するだけではなく、自ら「何に向かって何をするか」、目標とマイルストーンを決めて、自分なりの工夫を重ねながら進めていける人材です。

 

「おかみのいうことに絶対服従」してきた人材ではなく、誰かに指示されずとも自分で始められるセルフスターターが企業からは求められているのです。

 

継続は力になりにくい時代

 

スポーツの練習で重要なことは積み重ねであり、同じ動作の繰り返しです。

こうすることによって脳内の神経伝達ネットワークが増強され、動作の正確さやスピードが向上するからです。

また、試合は決められたルールに則って進められるので、小さなアクシデントは起こりますが、試合ごとに大きく変化することはありません。

 

しかし、現実の社会は違います。

毎日が同じことの繰り返しで「サラリーマンは気楽な稼業」だったのは遠い過去のこと。

交通網、情報網の発達で世界は狭くなり、定まった社会的ルールというものはもはや存在しないも同然です。

それどころか、新しいルールは「イノベーション」と呼ばれ、それを発想できるものだけにビジネスの成功はもたらされるのです。

 

現在の企業が求めるものは、同じことを継続するのではなく、小さな変化を機敏に察知し、それをさらに拡げて新しいルールを作りだせる柔軟性なのです。

つらい練習を継続することで得られる精神的な強さは武器になりますが、それよりも、今ある仕組みをぶち壊す破壊力のほうが求められているのです。

 

体よりもアタマ重視

 

スポーツには上下関係がつきもので、先輩の指示には絶対服従、返事は「はい」以外は禁止、というのがあたりまえです。

体育会では頭より体を使え、何事も根性と精神力だ、といわれてきました。

しかし、残念ながら企業にあって「頭より体」が優先する仕事は存在しません。

 

グロバール化と女性の登用を進める多くの企業では、上司が外国人であったり、女性であったりすることも珍しくありません。

これまで日本の会社では中年世代の男性上司が多く、総じて「頭より体」的な体育会出身者は好意的な目でみられてきました。

 

しかし、「はい!」というやたら元気な返事や、思い切りしっぽを振って指示を待つワンちゃんのような新人くんは、女性上司からみると「暑苦しい」という印象をもたれがちです。

もっとも、新人くんがイケメンであればこの限りではありませんが…

 

それよりも重要なことは、グローバル化に伴う語学力が求められている点です。

上司が外国人なら当たり前ですが、身近に外国人がいなくとも、海外の拠点や取引先とのやり取りが中小企業レベルでも日常化しているのが現状です。

もはや体育会のノリだけでは企業の中で生き残っていくことは不可能です。

 

スポーツと並行して語学力を身につけられなければ、逆に「体育会出身」が命取りになりかねません。

体育会出身者は特に「頭より体」という考えを改める必要があります。

 

他の体育会出身者との差別化

 

体育会出身者は、礼儀正しく、タフな精神力をもち、価値観と連帯感を周囲と共有できる、といったイメージを持たれています。

体育会であることは履歴書やESでわかりますから、企業の人事担当者は面接前に体育会特有の学生像を思い描いています。

 

ということは、面接でそのような「体育会系イメージ」を醸し出せないと、相手から「期待はずれ」と思われてしまう恐れがあるということです。

また、体育会出身者といえどもリーダーや主力級になれるのはほんの一握りで、あとは横一線、評価ポイントに差はつきません。

 

また、おなじ体育会でも、そのチームなり団体なりがどれほどの実績を上げたかで評価は変わってきます。

ですから、競技実績や部内でのポジションなど特別なアピールポイントがないのであれば、面接やESで体育会をアピールすることは避けたほうがいいでしょう。

 

それよりも、体育会と並行して語学力を身につけた、とか資格をとりました、というようなプラスワンをアピールできるようにしておくことが大切です。

また、リーダーであっても、ただ伝統を継承するというのではなく、常に革新を求めて大きな変化をもたらし、その結果すばらしい結果を得ました、というのでなければ企業の評価は分かれる可能性があります。

 

これからの体育会アピールは

 

一般に「体育会系」というワードが好印象であることは間違いありませんが、これからの時代、それだけでは就活に有利とはいえません。

また、体育会のOBやOGによるコネで入社したとしても、そのあと相当の苦労を強いられる可能性が多いにあります。

 

「体育会出身」というのをことさらアピールするのではなく、語学力など別のアピールポイントに加えて「体育会系です」となれば、就活において破壊力抜群の武器となることでしょう。

 

これからの時代は多様性、柔軟性、革新性が求められる時代です。

これらに加えて、礼儀正しさや精神力の代名詞である「体育会」というブランドをプラスワンとしてうまく活用することが、就活を有利にすすめられるかどうかのポイントとなるのです。

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